看板への印字方法、シルク印刷について。

こんばんは。

今日から5月。ゴールデンウィークですが、皆さんいかがお過ごしでしょうか?
今日と明日を休んで9連休という方もおられるかも・・・。
今朝の電車も心なしか少なく感じました。
でも弊社はカレンダー通り、2日間営業しています。

さて、今日はまた知り合いから問い合わせされた事について書こうと思います。
内容はタイトルの通り「シルク印刷について」

以前にシルク印刷の特長を簡単に紹介した事がありますが、今回はより詳しく書いてみます。

ちなみに以前に書いたブログはコチラ↓

印刷について vol.3

それでは今回の質問内容から。

質問をいただいた知人は鉄鋼の会社で、鉄の街をアピールする一環で「鉄のカンバン」を作られています。
キッカケは前回のボクのブログ「カッティングシートの貼り方」を読んでいただき、「看板を作る際にカッティングシート以外ではどの様な方法があるか?」という質問から始まりました。

看板への印字についていは、通常は「値段」「手軽さ」「現状回復の可否」の観点から、カッティングシートを使う事が圧倒的に多いです。
もし「カッティングシート以外」でとなると、
・シルク印刷
・エッチング
・腐食
・その他
があると返答したんですね。

そしたら

「シルク印刷は同じものを大量に製作する場合にメリットがあるのでは?それ以外にはどの様なメリットがありますか?」

との新たな質問が出てきました。

1人の方の「疑問」は必ず「沢山の方の疑問でもある」ので、ここからシルク印刷について改めて説明します。

●シルク印刷について

シルク印刷は「孔版」と呼ばれていて、印刷したいところだけ版に「孔(あな)」が空いていて、その穴からインクが通過して印字出来る方法です。
版にインクを入れて、スキージーと言われるヘラを使ってシルクの版の上にインクを伸ばします。

孔版の構造

メリットは
・印刷する対象物が「鉄」はもちろん、「布」「プラスチック」「ガラス」「木材」など様々な物に印字が可能です。
・円筒形や曲面などにも印刷出来ます。
・インク自体も乾けば耐久性、耐水性があるので、今回のような鉄看板にも使う事が可能です。
・インクに隠ぺい性があるので、下地が濃くても影響を受けません。

ちょっとオーバーに言うと「空気や水以外なら何でも印刷可能」ですね。

ただデメリットもあります。
・大量に印刷するのであれば良いのですが、看板のような「1点もの」になると版代が高く感じます。
・1色ずつ印刷しては乾かす必要があるので、多色刷りには時間が掛かります。
・また一度インクが乾くと落とすのに苦労します。
・印刷用語ですが「線数」が低いので細かな印刷にも適していません。
・その他の印刷方法に比べて手作業の部分が残っているので印刷の職人さんのよって品質に「差」が出ます。

この様に印刷はまだまだアナログなやり方が多く残っているのでスピードが遅いですが、手作業ならではの調整が可能なので、その辺りは柔軟な対応が出来ますね。

●余談ですが・・・

ここからは専門的な事なので興味のある方が対象となります。シルクの版は昔は「絹」を使っていたので「シルク」と呼ばれるんですが、生地はメッシュ状になっています。
通常は100メッシュ前後の物を使用しますが、例えば細かな絵柄の場合には400メッシュなどキメの細かな物を使います。
でも400メッシュを使ったからといって「細かな網点」が再現できる訳ではありません。だからシルク印刷ではグラデーションは「不可」ですね。
どうしても「網点」を使いたい場合はボクの認識では50線くらいまでが限度だと思います。しかも「網点」を使用する場合は出来るだけメッシュの細かいものを使う必要があります。なぜかと言うと「モアレ」が起きてしまいます。

「えっ?シルクの1色刷りなのにモアレ?」

と思った方もおられると思いますが、実は「網点」と「メッシュ」の重なりで“モアレ”が発生することがあるんです。
その辺りのことも踏まえてデータを作る必要があるんですね。

今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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1972年1月18日生まれ。奈良県在住。大学を卒業後、製版会社、広告代理店を経て父親が設立したダイトー光芸(株)に入社。2013年5月より現職。 恵まれたクライアント様や協力会社様に育てていただきながら、日々奮闘中。

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