印刷について　vol.2

前回に続き、今回も印刷について。

普段、何げなく見ている印刷物ですが、実は大きく分けて下記の４種類の印刷方法のいずれかで印刷されています。

①オフセット印刷（平版）
チラシや雑誌、ポスターなどへの印刷
②凸版印刷（凸版）
シールなどへの印刷
③グラビア印刷（凹版）
お菓子などの袋やペットボトルのフィルムなどへの印刷
④シルク印刷（孔版）
一部の道路標識やプラスチック容器など曲面への印刷

●オフセット印刷の特徴

今回はその中でも一番馴染みのある①のオフセット印刷について書いてみたいと思います。

突然ですがクイズです。皆さんが普段目にしているポスターやチラシって何種類のインクを使用していると思いますか？

正解は４種類(４色)です！例外で金や銀、蛍光色などの特別な色を使用している事もありますが、基本的には“C＝シアン(青系)”“M＝マゼンタ(赤系)”“Y＝イエロー(黄系)”“K＝ブラック(黒)”といわれる４色だけで印刷されているんです！
小学生の図工の授業で絵具を使って絵を描いた事があると思いますが、「黄色と青をまぜると緑になる」とか「青と赤をまぜると紺になる」とかの経験はありませんか？実は印刷でも同じ事をしているんですね。絵具ではインクの量を調整して色々な色を再現していた事を、印刷では「網点」と呼ばれる「小さな点」の大きさで「濃淡」を付けているんです。点が小さければ薄く見え、大きくなれば濃く見えるといった具合です。その網点同士を重ねる事で色々な色を作っているんですね。
その網点１個１個の間隔が広いと粗い絵になり、狭いと綺麗な絵になります。その間隔の基準の事を「線数」と言います。これは「１インチの長さに何個の“網点”があるのか」を指しており、私たちが通常よく見ている印刷物は「175線」で刷られています。つまり１インチの長さに175個の網点が並んでいる状態ですね。１インチは25.4mmなので、その点の細かさが分かりますよね。ですので175線の印刷物の網点を肉眼で見ることはほぼ不可能です。
ちなみに新聞はカラー面で100線くらいですので、よく見れば肉眼でも見れると思います。その分、当然絵柄は粗くなります。ただ最近はかなり線数も上がってきていて、より綺麗になってきていますが・・・。

●オフセット印刷のしくみ

次にオフセット印刷のしくみを詳しく書いてみます。
オフセット印刷の最大の特徴は、何と言っても細かい絵柄を綺麗に、しかも高速で印刷できることでしょう！
オフセット印刷＝平版と言わますが、「平」という字を書くことからも分かるように印刷の版が「平面」になっています。その版は「水と相性の良い部分」と「油（インク）と相性の良い部分」をつくる事ができ、「水と油の反発」を利用して印刷しています。
①版全面に水を付ける
水と相性の良いところにだけ水分が付く。
②インクを塗布する
水分があるところはインクがはじかれるので、油と相性の良いところにだけインクが付く。
③紙に印刷する
水分の層が少しだけ低いので、インクだけが紙に転写される。
要は版全面にインクを付けたくても水が付いているところは弾くのでインクが付かないという性質を利用しているんですね（図１参照）。

この特種な版を「PS版」と呼んでいて、素材はアルミなのですが、実はこのPS版から直接印刷する事は出来ないんです(図２参照)。図の通り、PS版についたインクを一度「ブランケット」と言われる弾力のあるゴム製の樹脂に一度転写してから紙に印刷しているんです！

余談ですが冒頭に言いました通り、オフセット印刷は基本的にCMYKの４色で刷っています。ですので図２のような物が４つ並んでいる事になり、これを４色機と呼んでいます（図３参照）。

●オフセット印刷関連のこと

オフセット印刷は上記のような構造になっていて、基本的には片面印刷となっています。もし両面印刷する場合は、片面刷った後に乾いてから裏面を刷ります。ただ、チラシのように大量ロットでスピードも要求されるような場合は「輪転機」といわれる両面同時印刷が可能な機械で刷る場合もあります。

それからCMYKを１色ずつ刷ることによる印刷ズレについても書いておきましょう！
印刷には「トンボ」といわれる物が必ず必要です。印刷ズレ（見当ズレとか版ズレとかと言います）が起きないように十字のセンタートンボで４版を合わせたり、ズレをチェックしたり、サイズ通りに断裁するために「角トンボ」を使用しています（図４）。

●まとめ

オフセット印刷のことについて「簡単に」書いてみましたが、お分かりいただけましたか？出来るだけ分かり易くを心掛けて書いたつもりですが・・・。
いやぁー、正直なところ印刷のことについて書くのって、特殊な業界のことなんで本当に難しいですねー！
僕自身が得意としている分野という事もあり、まだまだ書きたい事が沢山あります。でも１つ書けば２つの説明が必要といった具合に業界用語のオンパレードで、なかなか書きにくいですねー。もし、もっと詳しく知りたいという方は、是非お問い合わせください！弊社は印刷会社ではないですが、印刷についてのお問い合わせにも喜んでお答え致します！
それでは次回はその他の印刷方法について書きたいと思いますので、ご期待？ください！

今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。